介護保険サービスを受けるまでの流れ~ケアプランや書類記入など~

介護保険について多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは「介護保険とは?」について複数回にわたり記事を記載しています。

今回の内容

①区分支給限度額
②ケアプランとサービス担当者会議
③サービス開始時の書類記入

①区分支給限度額

介護保険のサービスを受ける際に、保険適用の費用は全ての方が同じという訳ではありません。
要介護・要支援の区分ごとに支給限度額があります。
ちなみに「要介護・要支援について」は以前に投稿している記事をご覧ください。
https://www.occasione.co.jp/2022-3-15/

この支給限度額が違う事によって、より多く介護保険サービスが必要な状態の方には多くの限度額を保険適用に設定できるようにしています。

区分支給限度額

【要支援の支給限度額】
要支援1:5,032単位
要支援2:10,531単位

【要介護の支給限度額】
要介護1:16,765単位
要介護2:19,705単位
要介護3:27,048単位
要介護4:30,938単位
要介護5:36,217単位

*上記の単位数は記事作成時の数値です。改定で変わる可能性があります。

介護保険では「単位」という言葉を使います。この単位は1単位=10円が基本です。
ただ受けるサービスと地域によって変わります。

ちなみに利用者負担ですが、利用料の1~3割です。利用者負担割合は所得に応じて変わります。
例えば合計1000単位のサービスを1ヶ月間受けた場合…
1000単位×10円×0.1=1000円となります。

区分支給限度額とは別の内容

【福祉用具購入費支給限度基準額】
福祉用具の購入に関しては、区分支給限度額とは別に毎年4月1日から翌年3月31日までの12か月間において10万円が設定されています。

【住宅改修費支給限度額基準額】
住宅改修の費用に関しては、区分支給限度額とは別に20万円が設定されています。
住宅改修費支給限度額には期間の定めがありません。

【支給限度額を超えてサービスを受けたい場合】
基本的には各介護度ごとに支給限度額の単位数で収まるようにサービスの内容や頻度を設定します。
ただ実際もっと多くのサービスを受けたいという要望がある場合もあります。
その場合は「介護保険適用外での実費負担」を行えば利用できる事業所もあります。
金額としてはもちろん保険適用よりも高額となりますが、必要であれば検討されても良いでしょう。

②ケアプランとサービス担当者会議

介護保険のサービスは介護認定を終えてすぐに受ける訳ではありません。
介護認定がおわるとケアマネジャー(介護支援専門員)が担当となります。
ケアマネジャーが利用者様・ご家族の要望を聞き、状況を把握して目標や対応策を考えます。
それがケアプランです。

ケアプランの内容

【第1表】
・利用者様の個人情報(氏名・住所・区分・認定の有効期間など)
・利用者様及びご家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
・介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定
・総合的な援助の方針 

引用元:厚生労働省 居宅サービス計画標準様式及び記載要領 
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf

【第2表】
・生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
・目標(短期的な目標・長期的な目標)
・援助内容(サービスの内容・頻度・期間など)

引用元:厚生労働省 居宅サービス計画標準様式及び記載要領 
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf

【第3表】
・利用者様の主な過ごし方
・サービスの曜日と時間帯

引用元:厚生労働省 居宅サービス計画標準様式及び記載要領 
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
サービス担当者会議

上記で説明したケアプランは作成してすぐに実行される訳ではありません。
原案が作成されると、そのケアプランに関係する利用者様・ご家族・サービス事業者の担当者が集まって話し合う『サービス担当者会議』を行います。

【サービス担当者会議の内容】
・ケアプランの原案の検討
・情報共有と専門的意見の聴取
・計画内容の確認

【サービス担当者会議の開催が必要な場合】
➀要介護認定を受けている利用者が、要介護更新認定を受けた場合
②要介護認定を受けている利用者が、要介護状態区分の変更の認定を受けた場合

③サービス開始時の書類記入

ケアプランで定められた事業所からのサービスを受ける際には契約に関する書類を記入する必要があります。
介護保険では「利用者の尊厳を保持する」という事が重要であり、直接利用契約を結ぶ事となっています。

契約の時にある書類

➀重要事項説明書
サービスを受けるうえでの重要事項を記載しています。他の業界でいう「利用規約」と同じです。
ただ最後に重要事項についての説明を受けた事に関する署名が必要になります。

②契約書
重要事項の説明を聞いて、合意する場合に契約を結ぶ書類です。
内容としては重要事項説明書と重複している項目があるのですが、契約書ですので当然大切です。

③個人情報に関する書類
サービスを行うにあたり、利用者様やご家族の個人情報を取り扱う事があります。
個人情報に関しては厳重に保護致します。
ただ介護のサービスを提供するために、医師や他の事業所との情報共有を行う必要があります。
個人情報は保護しますが、情報共有もするということの合意に対して記入して頂きます。

重要書類の記入に関して

サービスの契約は利用者様であるため、「ご本人が記入する」が原則です。
ただし、現実として利用者様の心身の状態によっては記入が困難な場合があります。
その際はご家族が代筆します。
もちろん代筆の必要がない場合でも出来る限り契約を結ぶ際はご家族も同席する事をお勧めいたします。

今回のまとめ

今回は『介護保険サービスを受けるまでの流れ』について説明しました。

重要な点としては「介護保険適用の単位数は区分ごとに上限が異なる」「ケアプランの作成・サービス担当者会議を行う」「重要書類の説明・合意・記入が必要」という事です。

サービスを提供する側、サービスを受ける側、保険料を納付する側など様々な方々が支えあい、出来うる限り自立したより良い生活を送れるように介護保険制度は大切な制度だと思います。

参考文献

『介護保険制度の概要、厚生労働省老健局、2021年(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf
『厚生労働省、福祉用具概要・流れ』
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000876007.pdf
『厚生労働省、居宅サービス計画標準様式及び記載要領、2021年(URLは下記)』
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
『ケアマネジャー試験対策研究会 著、福祉教科書 ケアマネジャー完全合格テキスト 2017年版、翔泳社、2016年』

『介護保険とは?』に関する他の記事

『介護保険の概要~設立の経緯と主たる目的~
https://www.occasione.co.jp/2022-3-8/
介護保険の被保険者と介護認定』
https://www.occasione.co.jp/2022-3-15/
介護保険サービスの種類~居宅サービス~
https://www.occasione.co.jp/2022-3-29/
介護保険サービスの種類~施設サービス・地域密着型サービス~
https://www.occasione.co.jp/2022-3-31/

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