リハビリテーションの言葉の由来・歴史・定義

理学療法士として現場で働いていた時にあったのは『リハビリテーションに対する誤った認識』です。
『リハビリテーションって何?』を理解していないまま提供を受けている。または提供を拒否するケースがありました。リハビリテーションについて多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは「リハビリテーションとは?」について複数回にわたり記事を記載しています。

今回の内容

①リハビリテーションの言葉の由来
②リハビリテーションの歴史
③リハビリテーションの定義

①リハビリテーションの言葉の由来

リハビリテーション(rehabilitaion)

re-:再び

Habilitareで適合させるというラテン語

これらが組み合わさって出来た言葉です。
当初は失われた名誉・地位・特権などを回復するという意味で使われていました。

②リハビリテーションの歴史

リハビリテーションの歴史として、まずはリハビリテーションの言葉が使われていた事例です。

・キリスト教から破門された者が、破門を解かれて地位を回復。
・無実の罪をきせられた者が、無実が明らかになり名誉を回復。
・犯罪者が更生して社会復帰を果たした場合。

これらです。
現代の様に医療的な言葉ではなくて、元々は社会適応に対しての言葉でした。

では医療的に使われだしたのはどういう経緯でしょうか?

医学的にリハビリテーションが使われるようになったのは「戦争」です。
戦争により負傷者が多くでました。
戦争が終わると、その方々も日常の生活に復帰する必要があります。
国は負傷者に恩給を支払う必要がでますし、生産をする世代の人口が減ります。
これによって戦後の国の生産性低下、経済にも影響が出ました。
その問題を解決ために、施設を作り、身体機能を回復させ、職業訓練を行い社会復帰を促したのです。

③リハビリテーションの定義

では現代のリハビリテーションの定義についてWHO(世界保健機関)が定めた定義を説明します。
定義に関しては難しい言葉を用いていますが、後で要約も記載するのでご安心ください。

リハビリテーションは障害(能力低下や社会的不利)及びそれにもたらす状態を改善し、障害者の社会統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。

さらにリハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うだけでなく、障害者の社会統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。

そして、障害者自身、家族、彼らが住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関係するサービスの計画や実行に関わりあわなければならない。

リハビリテーションの定義:WHO(世界保健機関)1981年

【定義の要約】
リハビリテーションは障害のある方に対して社会の適応を目指すのが目的で、色んな手段を用います。
リハビリテーションは訓練だけでなく環境や社会に対してのアプローチも行います。
なので障害のある方ご本人だけではなく、家族や地域社会がサービスの計画や実行に関わらなければなりません。

今回のまとめ

今回は『リハビリテーションの言葉の由来・歴史・定義』について説明しました。

重要な点としては「リハビリテーションは社会適応を表す言葉で、最初は医学的以外にも使われていた」「障害のある方に対して社会適応を目指すのが目的で手段は多様」「環境や社会に対してもアプローチをするので、ご本人だけではなく、家族や地域社会の認識や取り組みも大切」という事です。

弊社の「リハビリテーションとは?」という記事が皆様の認識に良い影響を与え、社会全体としてリハビリテーションに取り組めれる機会になれば幸いです。

参考文献

『松澤 正 著、理学療法評価学 第2版、金原出版株式会社、2004年』
『三上真弘・石田 暉 編集、リハビリテーション医学テキスト 改訂第2版、南江堂、2005年』
『理学療法科学学会 監修、理学療法科学シリーズ 理学療法概論 第6版、アイペック、2013年』

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リハビリテーションを行うための障害分類』
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