介護に関連する問題~介護離職について~

日本では様々な『介護に関連する問題』が生じています。
現在は介護を行う・受ける必要がない方でも、将来的に介護を行う・受ける機会が起こりうるので、皆様にとって身近な問題です。
介護に関連する問題について多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは『介護に関連する問題』について複数回にわたり記事を投稿しています。

今回の内容

①介護離職とは
②介護休業とは
③介護休暇とは

①介護離職とは

介護離職とは『介護を理由に本業を離職すること』を言います。

「令和2年(2020年)の厚生労働省の雇用動向調査」によると、2020年の離職者は約727.2万人で、そのうち個人的理由で離職した人は約515.2万人、「介護・看護」の理由が約7.1万人でした。
介護離職をする年齢層としては50代以降が多くなっていく傾向があります。

【介護離職の理由】
下記の図の通り「仕事と手助け・介護の両立が難しい職場だったため」がもっとも多く、「自分の心身の健康状態が悪化したため」が多くなっています。

引用元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(平成24年度厚生労働省委託調査)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf

【介護離職後の負担の変化】
下記の図の通り、介護離職後に負担が増したと感じている方は多いです。
仕事と介護の両立に悩んで離職をしているにも関わらず、離職しても精神面・肉体面の負担が軽減される訳ではなかったと感じた方が多いという事です。
また一時的に収入が減るだけではなく、また働こうと思った際に再就職が難航した場合は今後の人生において経済的なダメージが大きくなります。

引用元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(平成24年度厚生労働省委託調査)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf

【介護離職ゼロを目指して】
厚生労働省のページの中には『介護離職ゼロ ポータルサイト』というのがあります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112622.html
介護保険制度や介護休業制度についての説明・相談先などが記載されています。

また「仕事と介護の両立支援」として、介護離職予防に対しての具体的な内容を企業に対して「仕事と介護の両立支援ガイド」が発行されており、企業への理解を深める機会があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000490099.pdf

介護離職対策の制度として『育児・介護休業法に基づく制度』があります。
・介護休業
・介護休暇
・所定外労働の制限(残業免除)
・時間外労働の制限
・深夜業の制限
・所定労働時間短縮等の措置
・不利益取扱いの禁止
・ハラスメント防止措置

引用元:厚生労働省、介護で仕事を辞める前にご相談ください
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000833741.pdf

今回の記事では『介護休業』『介護休暇』について詳しく説明します。

②介護休業とは

要介護状態にある家族を介護する労働者は、要介護状態の対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として介護休業を分割して所得する事ができます。
介護休業を通じて、仕事と介護の両立が出来るように体制を立て直す事が推奨されています。

【要介護状態とは】
「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間にわたり常時介護を必要とする状態」のことです。

【介護休業の対象者】
「取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。」という方です。
(要約をすれば、介護休業の期間が終わった後も6ヶ月以上は雇用契約を継続しているということです。)
<労使協定を結んでいる場合に対象外となる労働者>
入社1年未満の労働者
申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

【介護休業給付金について】
介護休業中の経済的支援として『介護休業給付金』があります。
申し込む事によって『雇用保険』から支給されます。
<支給額について>
「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」です。
<支給の条件>
「介護休業を開始した日の前2年間で賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月として12ヶ月以上あること(要約すれば、雇用保険に加入し、週3日勤務を12ヶ月以上している)」というのがあります。

③介護休暇とは

要介護状態にあたる対象家族の介護などを行う労働者が、1日単位または時間単位で所得出来る休暇の事です。(要介護状態の定義は介護休業と同じ)
対象家族が1人であれば年に5日まで。対象家族が2人であれば年に10日まで所得出来ます。

【休暇の対象者】
対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
<労使協定を締結している場合に対象外となる労働者>
入社6か月未満の労働者
1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

【介護休暇の給与について】
年次有給休暇とは別の休暇であり、会社は支給義務はありません。
介護休暇が有給なのか無給なのかは勤務先の就業規則でご確認下さい。
また介護休業給付金の支給はありません。

今回のまとめ

今回は『介護に関連する問題~介護離職について~』を説明しました。

重要な点としては…
介護離職とは介護を理由に本業を離職すること
「介護を理由に離職をしたとしても、負担が減ったと感じる人は少ない」
「介護離職予防として、労働者・企業に対して啓発しているツールがある」
「介護休業は要介護状態の対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として介護休業を分割して所得する事ができる」
「介護休業給付金は、介護休業の期間中に賃金の67%分支給される」
「介護休暇は介護をする対象家族1人につき5日(2人以上は10日)、1日または時間単位で所得できる休暇」
という事です。

日本の中では超高齢社会によって、様々な『介護に関連する問題』があります。
世界においても高齢化が進んでいる事から、『介護に関連する問題』へのアプローチは日本だけではなく、世界に対しても良い影響を与えるのではないかと考えられます。

参考文献

『令和3年版高齢社会白書、内閣府、2021年(下記URL)』
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/03pdf_index.html
『介護離職者はどれくらい?介護離職をしないための支援制度は?、公益財団法人 生命保険文化センター(下記URL)』
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1099.html
『「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(平成24年度厚生労働省委託調査)(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf
『令和2年度雇用動向調査、厚生労働省、e-Stat 政府統計の総合窓口(下記URL)』
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450073&tstat=000001012468&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000001012469&tclass2=000001012472&stat_infid=000032180014&result_back=1&tclass3val=0
『介護離職ゼロ ポータルサイト、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112622.html
『企業のための仕事と介護の両立支援ガイド~従業員の介護離職を防ぐために~、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/content/000490099.pdf
『介護で仕事を辞める前にご相談ください、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000833741.pdf
『介護休業について、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/closed/index.html
『Q&A~介護休業給付~、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
『介護休暇とは、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/holiday/index.html

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