介護に関連する問題~老老介護・認認介護について~

日本では様々な『介護に関連する問題』が生じています。
現在は介護を行う・受ける必要がない方でも、将来的に介護を行う・受ける機会が起こりうるので、皆様にとって身近な問題です。
介護に関連する問題について多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは『介護に関連する問題』について複数回にわたり記事を記載しています。

今回の内容

①老老介護とは
②老老介護の要因

③認認介護とは

①老老介護とは

老老介護とは『65歳以上の高齢者が、65歳以上の高齢者の介護を行っている』という状態の事を言います。

これからは厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」に記載されている数値を参考にして説明していきますが、老老介護は多くの家庭で起きています。

【要介護者等からみた主な介護者の続柄】
「厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況」によると「同居家族が介護している割合は54.4%で、配偶者は23.8%、子は20.7%、子の配偶者が7.5%の順となっており、そのうち男性が35.0%、女性が65%」となっています。

引用元:内閣府 令和3年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/03pdf_index.html

【要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合】
「厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況」によると「65歳以上同士で59.7%、75歳以上同士で33.1%」となっています。
また引用している下記の図のとおり、割合は年々上昇しています。

引用元:厚生労働省、2019年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ介護の状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf
老老介護の問題

①身体・精神的な負担の問題
上記の数値からわかる通り、高齢者の方が高齢者の方を介護しているケースが多くあります。
また男女の割合を含めて考察すれば、高齢者の女性が主な介護者となっている割合も多いです。
若い年齢の介護従事者であっても介護のサービス時に体力を消耗し、体の怪我が起きるリスクがあるほどですから、高齢者の方が介護を行う事は相当な負担になるでしょう。
介護の期間は長期的になる事も多くあり、精神的な負担にもなります。

②社会的なつながりの減少
介護を行う事によって、介護を行う方も家から出る機会が減り、閉じこもりがちになりやすいです。
この事によって周囲の方との交流が減り、社会的なつながりが減少する恐れがあります。

③家事に対する問題
例えば、今まで家事を行っていなかった男性が、女性の介護をする必要がある際に、介護だけではなく家事を行う事に対しても困惑するという事があります。

②老老介護の要因

①平均寿命と健康寿命の差がある
平均寿命は「0歳における余命の平均」の事を言います。
健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」の事を言います。
平均寿命と健康寿命の間に差があるというのは、「不健康で日常生活に制限がある期間」を表している事になります。
つまり、平均寿命と健康寿命の差がある期間には、医療や介護が必要となります。

引用元:内閣府 令和3年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/03pdf_index.html

②核家族化による影響
日本では核家族化が進み、三世代世帯が減ってきています。
高齢者の世帯に関しても、「夫婦のみの世帯」、「単独世帯」、「親と未婚の子のみの世帯」の順で多いです。
「夫婦のみの世帯」が多いので老老介護になりやすく、「親と未婚の子のみの世帯」であっても、例えば90歳の母親を67歳の娘が介護する場合は老老介護に該当します。
また今回の記事のテーマとは違う話ではありますが、高齢者の単独世帯の数が増えてきている事は、介護力が十分に足りていない世帯がある可能性を示唆しています。

引用元:厚生労働省、2019年 国民生活基礎調査の概況 Ⅰ世帯数と世帯人員の状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/02.pdf
③認認介護とは

認認介護とは『認知症の高齢者が認知症の高齢者の介護を行っている』という状態の事を言います。
老老介護から派生している問題とも言えます。

要介護認定の要因として『認知症』は第1位の割合であり、高齢者同士で介護を行っている場合は認認介護となる可能性があります。

引用元:内閣府 令和3年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/03pdf_index.html
認認介護の問題

上記の『老老介護の問題』で説明した問題も生じる恐れがあります。
それ以外に『認認介護の問題』としては『生活に関連する管理の問題』があります。
毎日の飲む薬を用意する服薬管理、支払いに必要な金銭管理、予定に対する時間管理などの管理に対して問題が生じる可能性があります。
また自宅での火災が起きる危険性や、悪徳な業者の被害にあう危険性なども生じる可能性が高くなります。

今回のまとめ

今回は『介護に関連する問題~老老介護・認識介護について~』を説明しました。

重要な点としては…
老老介護とは『65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者の介護を行っている』という状態
老老介護の問題として、①身体・精神的な負担の問題、②社会的なつながりの減少、③家事に対する問題がある」
「老老介護の要因は、①平均寿命と健康寿命の差がある②核家族化による影響」
認認介護とは『認知症の高齢者が認知症の高齢者の介護を行っている』という状態
「認認介護の問題として、生活に関連する管理の問題がある
という事です。

日本の中では超高齢社会によって、様々な『介護に関連する問題』があります。
世界においても高齢化が進んでいる事から、『介護に関連する問題』へのアプローチは日本だけではなく、世界に対しても良い影響を与えるのではないかと考えられます。

参考文献

『令和3年版高齢社会白書、内閣府、2021年(下記URL)』
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/03pdf_index.html
『令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-、厚生労働省、2020年(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/index.html
『国民生活基礎調査の概況、厚生労働省、2019年(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html
『平均寿命と健康寿命、e-ヘルスネット、厚生労働省(下記URL)』
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html

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