介護に関連する問題~ヤングケアラーについて~

日本では様々な『介護に関連する問題』が生じています。
現在は介護を行う・受ける必要がない方でも、将来的に介護を行う・受ける機会が起こりうるので、皆様にとって身近な問題です。
介護に関連する問題について多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは『介護に関連する問題』について複数回にわたり記事を投稿しています。

今回の内容

①ヤングケアラーとは
②ヤングケアラーの生活への影響
③ヤングケアラーの実態が把握しづらい理由

①ヤングケアラーとは

ヤングケアラーとは法令上の定義はありませんが、「一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子供」と言われています。

ヤングケアラーの具体例

「障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている」
「家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている」
「障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている」
「目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている」
「日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている」
「家計を支えるために労働をして、障がいや病気のある家族を助けている」
「アルコール・薬剤・ギャンブル問題を抱える家族に対応している」
「がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている」
「障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている」
「障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている」

引用元:一般社団法人 日本ケアラー連盟が作成したイラストの説明文章
https://carersjapan.com/about-carer/%e3%82%b1%e3%82%a2%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%81%a8%e3%81%af-2-2/
ヤングケアラーの割合

「令和2年度ヤングケアラーに対する実態に関する調査研究報告書」によると、「家族の中にあなたがお世話をしている人はいますか」という質問に対し、「いる」と答えた中学2年生は5.7%でした。
回答した中学2年生の約17人に1人がヤングケアラーということになります。

ヤングケアラーが平日1日あたりに世話を行っている時間

「令和2年度ヤングケアラーに対する実態に関する調査研究報告書」によると、平日1日あたりに世話に費やす時間については、中学2年生は平均 4.0 時間、全日制高校2年生は平均 3.8 時間となっています。

②ヤングケアラーの生活への影響

子どもがケアを行う日常を送っている事で、下記の様な生活への影響が出てきます。

➀学業に対する影響
・遅刻・早退・欠席が増える。
・勉強の時間が充分に取れない。
・成績が落ちた。
・進路の変更を考えざる得ない、変更した。等

⓶身体・精神面に対する影響
・睡眠が十分にとれない。
・ストレスを感じる。等

③友人との関係に対する影響
・ケアについて話せる人がいなくて孤独を感じる。
・部活ができない。
・周囲の人と会話や話題が合わない。等

③ヤングケアラーの実態が把握しづらい理由

ヤングケアラーに対しては実態を把握できていない場合があります。

「令和2年度ヤングケアラーに対する実態に関する調査研究報告書」によると、「家族内のことで問題が表に出にくく、実態の把握が難しい」が81.8%と最も高く、次いで「ヤングケアラーである子ども自身やその家族が「ヤングケアラー」という問題を認識していない」が66.8%、「虐待などに比べて緊急度が高くないため、「ヤングケアラー」に関する実態の把握が後回しになる」が36.0%となっています。

一番多い割合の項目は家庭内のプライバシーが関与していますが、他の項目は「ヤングケアラーに対する認識」が影響しているのが多いです。

引用元:令和2年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書、三菱UFJリサーチ&コンサルティング
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf
今回のまとめ

今回は『介護に関連する問題~ヤングケアラーについて~』を説明しました。

重要な点としては…
「ヤングケアラーとは、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子供と言われている」
「参考文献の調査の結果では中学2年生の17人に1人がヤングケアラー
「ヤングケアラーはケアをする日常によって学業、身体・精神面、友人との関係性に影響が出る」
「ヤングケアラーは家庭内の事で表面化しづらかったり、本人・家族自身がヤングケアラーについて問題を認識していない事などで実態が把握できない事がある」
という事です。

社会全体がヤングケアラーについて認知し、問題への対策を考え・実行に移していく事が大切です。

参考文献

『ヤングケアラーとは、一般社団法人 日本ケアラー連盟(下記URL)』
https://carersjapan.com/about-carer/%e3%82%b1%e3%82%a2%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%81%a8%e3%81%af-2-2/
『子どもが子どもでいられる街に。~ヤングケアラーを支える社会を目指して~、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/young-carer/
『ヤングケアラー なぜ子どもがケアを担うことになるのか、澁谷 智子、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000753054.pdf
『令和2年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2021年(下記URL)』
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf

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