介護に関連する問題~介護職員の人材不足について~

日本では様々な『介護に関連する問題』が生じています。
現在は介護を行う・受ける必要がない方でも、将来的に介護を行う・受ける機会が起こりうるので、皆様にとって身近な問題です。
介護に関連する問題について多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは『介護に関連する問題』について複数回にわたり記事を投稿しています。

今回の内容

①介護職員とは
②介護職員の人材不足の状況
③介護職員の人材確保への対策

①介護職員とは

介護業界(介護保険サービス)に関係する職業は、医師・看護師・リハビリ職・介護支援専門員など多くの種類があります。
今回の記事では『介護職員』に対して説明していきます。

介護職員の職場

介護職員の職場は大まかには3種類です。
・通所系(デイサービスなどの利用者様が自宅から通ってくるサービス)
・入所系(特別養護老人ホームなどの利用者様が施設に入所するサービス)
・訪問系(訪問介護などの利用者様のご自宅に訪問するサービス)

介護保険のサービスについては弊社の無料記事『介護保険とは?』でも説明しています。詳しく知りたい方はご覧ください。
介護保険サービスの種類~居宅サービス~
https://www.occasione.co.jp/2022-3-29/
『介護保険サービスの種類~施設サービス・地域密着型サービス~
https://www.occasione.co.jp/2022-3-31/

介護職員の研修・資格所得

介護職に関しては、無資格からでも介護保険サービスに対して働く事が出来ます。
ただ、利用者様に対して良いサービスを提供する事、同じ職場や他の事業所との連携をする事、自分自身のキャリア・処遇を良くしていく事を考えると、研修の参加や資格所得は良い事だと思います。

また訪問系の介護職員に対しては下記の引用の図に書かれているとおり、基本的には『介護職員初任者研修(130時間)』を受講する必要があります。

そして、『実務者研修(450時間)』を受講し、実務経験が3年以上の場合に『介護福祉士(国家資格)』の受験が出来ます。

下記の図で紹介している研修に関しては、下部に書いている研修を受講済みの場合は、上部に書いてある研修は一部免除となります。(例:介護職員初任者研修を受講済みの場合、実務者研修は130時間分が免除になります。)

引用元:厚生労働省、介護に関する入門研修について
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000465981.pdf
②介護職の人材不足の状況

厚生労働省の「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2019年度では約211万人のところから、2023年度には約233万人、2025年度には約243万人が必要と言われています。

引用元:厚生労働省、介護人材確保に向けた取り組み
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html

介護職員の人材が急速に必要な理由としては、日本は超高齢社会であり、2025年には団塊の世代が後期高齢者となる事が関係しています。超高齢社会については弊社の無料記事でも説明しています。
介護に関連する問題~超高齢社会について~
https://www.occasione.co.jp/2022-5-31/

介護職員に対するイメージ

転職する人が少ない理由として、介護職員に対して抱いているイメージが良くないという事もあります。
下記のアンケート結果では「給与など雇用面での待遇が悪い」が40.2%、「体力的、精神的にきつい」が41.4%と割合の多いイメージになっています。

引用元:長崎県福祉保健部福祉保健課、平成26年「介護の仕事のイメージについてのアンケート結果
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2015/03/1425343908.pdf?_fsi=NiGfbmRu
介護職員として働く人の現状

下記の引用した図によると、介護職員の方が悩んでいる・不安・不満な事に関しては、処遇や体力面の事よりも、人手が足りない事が多くの割合を占めています。

引用元:公益財団法人 介護労働安定センター、令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf

また賃金・賞与に関してですが、近年は増加傾向という調査結果があります。

引用元:公益財団法人 介護労働安定センター、令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf
③介護職員の人材確保への対策

厚生労働省の「介護人材確保に向けた取り組み」によると下記の内容が対策として掲げられています。

➀介護職員の処遇改善

➁多様な人材の確保・育成
介護福祉士修学資金貸付・再就職準備金貸付による支援。
中高年齢者等の介護未経験者に対する入門的研修の実施から研修受講後の体験支援、マッチングまでを一体的に支援など。

➂離職防止・定着促進・生産性向上
介護ロボット・ICT等テクノロジーの活用推進。
介護施設・事業所内の保育施設の設置・運営の支援など。

➃介護職の魅力向上
学生やその保護者、進路指導担当者等への介護の仕事の理解促進。
介護を知るための体験型イベントの開催など。

➄外国人材の受入環境整備
介護福祉士を目指す留学生等の支援。
「特定技能」等外国人介護人材の受入環境整備など。

今回のまとめ

今回は『介護に関連する問題~介護業界の人材不足について~』を説明しました。

重要な点としては…
「介護職員は大まかに通所系・入所系・訪問系のサービスがある
「介護職員は無資格からでも入職出来るが、訪問系サービスを行う事、サービスの質や処遇を向上するためには研修や資格所得する事は良い事」
「介護職員は今後も必要な人数は増加傾向であり、超高齢社会が関係している」
「介護職員の人材不足に対しては厚生労働省を中心として、対策を検討・実行されている」
という事です。

日本の中では超高齢社会によって、様々な『介護に関連する問題』があります。
世界においても高齢化が進んでいる事から、『介護に関連する問題』へのアプローチは日本だけではなく、世界に対しても良い影響を与えるのではないかと考えられます。

参考文献

『介護に関する入門研修について、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000465981.pdf
『介護人材確保に向けた取り組み、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html
『総合的な介護人材確保対策(主な取組)、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804131.pdf
『平成26年「介護の仕事のイメージについてのアンケート結果、長崎県福祉保健部福祉保健課(下記URL)』
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2015/03/1425343908.pdf?_fsi=NiGfbmRu
『令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について、公益財団法人 介護労働安定センター』
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf

『介護に関連する問題』に関する他の記事

介護に関連する問題~超高齢社会について~
https://www.occasione.co.jp/2022-5-31/
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